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「忖度」無しの報道 "なんか"日本の報道に違和感を感じている人へ ちょっとクセあり番組だけど フォローしたら良いことあるかも?

“情熱社長”の素顔──近藤太香巳をめぐるDV疑惑とビジネスの暗部


「未来は今の連続なんや!」――2000人規模のセミナーで拳を突き上げる近藤太香巳氏は、長らく“熱血カリスマ”の代名詞だった。高校を中退し、電話加入権割賦販売で頭角を現わし、わずか19歳で創業。2004年、史上最年少で東証一部上場社長となり、孫正義氏や三木谷浩史氏と肩を並べた成功譚は、多くの若手経営者のバイブルである。

だが、その眩いサクセスストーリーの背面で、ひとりの女性が渦巻く暴力と不条理に苛まれていたことを、私たちは忘れてはならない。

倉本明美さんが語る「隠された五年間」

2009年春、倉本明美さん(仮名)は、スポーツ支援イベントの懇親会で近藤と出会った。独身と聞かされ交際を始めたが、まもなく彼が2度目の結婚直後であることが判明する。衝撃から体調を崩し、頭部には10円玉大の円形脱毛症が10カ所以上広がった。

やがて“熱血社長”の暴力が始まる。
2011年7月27日深夜、銀座での男性1人を含めた3人での買い物・食事を浮気と決めつけられ、帰宅直後に左胸を蹴られた倉本さんは、救急外来で「左第七肋骨骨折」と診断される。コルセットで固定しながら仕事を続けたが、痛みは2カ月以上続いた。

同年11月8日未明には、泥酔した近藤から性行為を強要され、拒むと髪を鷲掴みにされ平手で顔面を連打、腹部を踏みつけられた。翌朝のCTには「外傷性くも膜下出血の疑い」と記されている。現場写真やX線画像は、のちに提出された告訴状にすべて綴じ込まれた。

暴力は酔った夜ほど激しく、倉本さんは胸や腹の打撲痕、腫れあがった頬の画像をスマートフォンに残し、タレント仲間へSOSとして転送した。だが近藤は「芝居をするな」「大げさに騒ぐな」と怒鳴り、翌朝には値札のついた高額なバッグを差し出して「これでチャラや」と笑ったという。

「事業支援」が仕掛けた株式の罠

倉本さんは、DNA解析を使った美容サービスを夢見て2010年9月にD社(のちにDiNA社へ改称)を設立。出資比率は自ら7割、近藤氏が3割だった。ところが設立翌月から翌年にかけて、近藤側主導の臨時株主総会が3度開かれ、倉本さんの知らぬ間に第三者割当増資が可決。70%の持株は18%まで希薄化し、会社はネクシーズの子会社同然となった。
議事録には「議長・倉本明美」とまで記されていたが、当日の手帳には客先訪問や料理教室の予定が残り、倉本さんは会議に出席していない。

会社法に詳しい弁護士は、このように述べている。
「議決権の三分の二以上を有する株主でかつ代表取締役であった倉本さんの関与なく株主総会が開催され、第三者割当増資がなされたのであれば、D社に対し新株発行不在確認の訴えを提起して、増資の効力を争うことができます。また、倉本さんの許諾なく、議事録や登記申請書等に代表員を捺印し、それを用いて増資の登記が申請されたのであれば、有印私文書偽造罪、同行使罪や公正証書原本不実記載等罪の疑いも出てきます。」

2015年5月、彼女は代表取締役を解任され、社内メールも遮断される。
「暴力に耐えたのは経営を支えてもらった恩があったから。でも、会社を奪われた瞬間、我慢の理由は消えました」。
同年8月、倉本さんは弁護士同席でA4判十八枚の暴行傷害罪告訴状を警視庁原宿署に提出。警察は2017年秋に傷害容疑で近藤を書類送検したものの、地検は18年3月に不起訴とした。処分理由は開示されず、真相は闇のまま封印された。

熱狂ビジネスのグレーゾーン

近藤氏のビジネスモデルは「初期費用ゼロ」を旗印に拡張を続けてきた。
創業期の電話加入権割賦販売〈テルミーシステム〉は、割高手数料が消費者団体から問題視された。近年のLEDや空調リースも「光熱費で元が取れる」と喧伝する一方、事業者間契約ゆえクーリングオフが適用されず、途中解約違約金の相談が全国の商工会議所に寄せられている。
2011年に立ち上げた経営者コミュニティ〈パッションリーダーズ〉は、入会金と年会費で14万円超。4000人超の会員と豪語するが、脱退者は「高額セミナーとシャンパンコールで熱狂を煽る“自己啓発+MLM”」と語る。

“情熱社長”の裁判乱発と市場の逆襲

2015年末の週刊文春報道に対し、近藤氏は名誉毀損で総額二億円超の損害賠償を求め、出版社と倉本さんを提訴した。だが18年3月、彼はほぼすべての訴訟を取り下げ、謝罪も賠償も得られないまま和解。法廷で語られるはずだった「背中の真実」は結局示されずじまいだった。

25年4月、米系ファンドが提案したフジ・メディアHDの社外取締役候補に近藤氏の名が挙がると、SNSは「DV疑惑の人物を公共放送の監督役に?」と批判一色。株価は瞬時に下落し、外資系運用会社までが選任反対を表明した。

ネクシィーズの取締役会は創業一派で固められ、報酬・指名委員会も設けない。ESG評価機関は「リーダーズリスク」を理由にガバナンススコアを引き下げ、機関投資家の一部は議決権行使で再考を迫る構えだ。

背中で語るべき“けじめ”

近藤氏は著書『リーダーは背中で語れ』で「生き様こそ最大のスピーチ」と豪語する。
ならば、自身の背中に貼りついた暴力と強奪の痕跡を正面から説明し、倉本明美さん(仮)に押しつけた痛みと損失をどう償うのか。
その答えなくして、いかに新規事業を立ち上げ、壇上で情熱を叫ぼうとも、社会も投資家ももう踊らされはしない。

倉本さんは言う。
「心も会社も壊された。でも『上場社長だから泣き寝入り』という前例を残したくない」。――拳を振り上げるより先に、彼女の問いに答えること。
それこそが、“熱狂の教祖”が次のステージへ進む唯一の道ではないか。

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